音楽劇 「ファンファーレ」 @ シアタートラム
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昨日、三軒茶屋シアタートラムで、坂本美雨も出演する音楽劇「ファンファーレ」を見に行きました。ミュージカルでもダンスでも単なる演劇でもない、演劇・音楽・ダンスのそれぞれの魅力を引き出した新世代の創造劇「音楽劇」。この芝居は、崇高な芸術でなく、エンターテイメントでした。

ちょうど、この日に坂本美雨さんのアルバム「I'm yours」がHMV ONLINEで来たので、それにiTunesにインポートして、ⅰPODで聴きながら、東急東横線から東急田園都市線の同じ東急電鉄なのに、動線の悪さに戸惑いつつ、坂本美雨さんのラブレターソングを聴いて、あまり恋愛経験が豊富な人ではないなぁ、私と同じだなぁ、とか思いながら、三軒茶屋へ行きました。

I'm yours! (初回生産限定)

坂本美雨 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ



シアタートラムは、駅前再開発ビルキャロットタワーの2階とぺデストリアンデッキで繋がっていて、その下をくぐって、東急世田谷線に乗れるという仕組みです。駅と商店街が大きな幹線道路でぶつかって、下北沢の今の再開発計画が行われると、これと殆ど同じ都市構造になるので、下北沢の駅前の駅直結の商店街・個人商店という個性がなくなり、商店街の売り上げにも、響くので、SAVE THE 下北沢に共感します。

座席が「自由席」ということに気がつかず、開場時間になっても、スターバックスでキャラメルマキアートのGranteサイズを飲んでいました。最後まで飲まないともったいないと思いまして。スタバは、皆、勉強とか読書とかしていて、静かで会話がなく、みな同じ方向を向いているので、「図書館の学習室!」と思いました。

開場時間に並んでいなかったため、かなり後方ですが、右端の前から6番目くらいに座りました。通路側ならトイレに行きやすかったし、シアタートラムは、隣のキャロットタワーの中にある世田谷パブリックシアターのような大きい劇場ではなく、こまばアゴラ劇場を1.7倍くらいにした小劇場で、しかも段差が大きいので、どの席からも見やすい設計になっているようです。

確かに自由席と気が付かずに並ばなくて、超至近距離で坂本美雨さんが見られなかったのは、残念ですが、これが蒼井優ちゃんや真木よう子さんだったら後悔しますが、坂本美雨さんなら、ま、いっかー、OTODAMAで至近距離で見たし、と自分を説得しました。

グッズ売り場に、エコバックと、坂本美雨さんと口ロロ(クチロロ)のCDと、パンフレットが2種類あって、1種類は、ネットからCDに、この音楽劇の内容をダウンロードできるカードが入っているのが1500円、入っていないのが1000円でしたが、どうも、私は音楽を電子データにダウンロードすることに抵抗を感じるアナログ世代なので、1000円の方をGETしました。

何気ない日常の機微を、ループやサンプリング、日本語ラップなどの新しい発想で作品に結実させる柴幸男さんが、脚本・演出。□□□のフロントマンとして、歌もの、 HIPHOP、ソウル、ハウス、テクノ、音響、ジャズ、あらゆるものを聴かせつつもJ-POPに昇華させる三浦康嗣さんが、音楽・演出。うっかり見逃してしまいそうな、些細な、ズレた存在をふんわりダンス的パフォーマンスにくるみこむ白神ももこさんが振付・演出。この個性ある3人の演出が融和すると、どのような音楽劇になるのか、ワクワクしていました。柴幸男 × 三浦康嗣 × 白神ももこ、この3人の組み合わせは、第54回岸田國士戯曲賞受賞作「わが星」で最高のコラボレーションを見せた実績があります。

出演者は、坂本美雨、今井尋也(メガロシアター)、 今村洋一(地下空港)、 初夏(劇団レトルト内閣)、 大柿友哉(害獣芝居)、 北川結(モモンガ・コンプレックス)、 重岡佐都子、 清水久美子、名児耶ゆり、 西尾大介(ALOHA)、babl、 柳瀬大輔の12人。
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主人公のファーレは、第1幕の少女時代の頃の役者が、名児耶ゆり、第2幕の家出娘時代の役者が、初夏、第3幕の大人になったファーレは、坂本美雨です。第1幕でも第2幕でも音響のコーラスにも出てきて、この演劇の挿入歌に、坂本美雨さんの前回のアルバム「HATSUKOI」の収録曲「RING OF TALES」を歌いました。シンセサイザーがないので、テクノではなく、アコースティックなHIPHOP(?)みたいな感じで、口ロロにだいぶ編曲はいじられましたが、ところどころで、坂本美雨さんの声を堪能できます。声楽を大学で先行したせいもあるのか、セリフに出てくる日本語も綺麗でした。まあ、滑舌が完璧になるには、基礎訓練を積まないといけないのですが、たまに吉田栄作みたいに知名度だけ高くて基礎練習不足で平気で舞台に上がる人もいるので。とにかく坂本美雨さんの歌声を、堪能できる芝居で、それだけで、私は、大満足です。

HATSUKOI

坂本美雨 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ



音響は、全て生演奏で、舞台が2段組みになっていて、その上の段に小さなスペースを左右に作って、生演奏しています。いつも高橋幸宏さんが出る場所(YMO、The Beatniks、ソロ)には必ずサポートで出てくるpupa5号の権藤知彦さん(pupa/anonymass)がユーフォニアム・フリューゲルホルン、田中佑司さんがパーカッション・ピアノ、 千葉広樹さんがコントラバス・バイオリン、村田シゲ(□□□/CUBISMO GRAFICO FIVE/Circle Darko)がエレキギター・エレキベース、三浦康嗣がピアノという構成で、権藤知彦さんが出て演奏するたびに、「権藤知彦さんだー!」って心の中で歓喜する私!

舞台は、3部構成で、平田オリザ氏が嫌う「説明的なセリフ」は、ヒップホップもしくはラップ的にダンスをしながら状況説明をしているので、そんなに説明的なセリフはありませんでした。

今回の音楽劇は、ループというサンプリングマシンで、音を繰り返すシーンが多く、心地よかったです。

ダンスの部分は、みんなが揃って同じ動きをするシーンがなくて、「おお、これは、すごい」というシーンもないので、出演者のダンスが本当に上手なのかどうか分からないけれど、ポップで、かつ、ゆるゆるで楽しかったです。よくパンクバンドの演奏が本当に上手いのか、もっと分かりやすく言うと、セックスピストルズのシドは本当にベースが上手いのかみたいな感じでしょうか。

また、今回の音楽劇「ファンファーレ」の公演は、地域をめぐり生み出される4つのmixが予定されているそうです。 「ファンファーレ」は、TOKYO mix/MIE mix/KOCHI mix/MITO mix の4つの異なるmixをもつ作品として創作されるらしいです。東京での封切り公演に先立って、東京以外の3都市で現地出演者のオーディションを兼ねたワークショップを実施し、 各地で創作したシーン、各地で得た発想を作品に編みこむとともに、3都市では、現地出演者を加えた当地オリジナルバージョンで上演されるそうです。主幹劇場で主に制作された作品を各地に巡演する従来の形から、公演を行う地域と関わりながら創作する、公共劇場の新しい舞台創作の試みなんだそうです。



以下あらすじです。

世間はでんでバラバラで、デタラメです。この物語の世界は、私たちが知っているのとは大きく違います。例えば、この星は、象と亀と蛇で、できています。 言語も、体も、音も、私たちのそれとは、ちぐはぐです。 この物語は、そんな、デタラメな世界を舞台に、はじまりました。

*** 第一幕 / ファーレ 旅立つ ***

ここは、とある田舎の一軒家。そこにレッサーパンダ先生と、この物語の主人公ファーレと、ポリオと3人で暮らしていました。

ファーレは、生まれつき「ファ」と「レ」しか歌えません。レッサーパンダ先生が、ファーレにうたうたいになってほしくて、一生懸命ピアノを弾いて教えこむのですが、「ファ」と「レ」しか出てきません。

ちなみにファーレの友達ポリオも「ン」しか話せません。

カレーライスという、その世界を代表するうたうたいがいて、カレーレディオというラジオ番組を、ファーレは、いつも楽しみにしていました。

ファーレには、お父さんもお母さんもいなくて、レッサーパンダ先生は、ファーレは空から降ってきたと言い続けました。でも、懐疑心が強くなり、だんだん気持ちが壊れていく、その深層心理がダンスで描かれます。

そして、レッサーパンダ先生から、森の中に赤子がいるのを見つけて拾ったこと、そこにピンク色のタオルに「ファーレ」という名前が書いてあったことも教えました。

ファーレは、家を出て、両親を探す旅に出ることにしました。そして、生まれて最初の記憶である子守歌を歌いました。その歌は、「ファ」と「レ」だけで歌える子守歌でした。

立派なうたうたいになれば、ファーレは両親が見つかると信じていました。ポリ夫も、レッサーパンダ先生も、ファーレを引き留めず、象使い5$の連れた象に乗って旅立つファーレを見送りました。

*** 第二幕 / ファーレ 決意する ***

旅立ちから、数年後。

ファーレは、劇場裏で、親に反発し家出したbableと、親に売られた「あしのうらみょうが」と3人で暮らしていました。ファーレ達は、まち奉行から楽器等を盗んだりして生活をしていて、まち奉行から、いつも追われていました。ファーレは2人には隠れて、有名なうたうたいカレーライスのラジオ番組カレーレディオを聞いていました。

そんなとき、ファーレたちのアジトを突き止めた人が、ファーレに、明日の夜、劇場で開かれる作曲家アロンアロハのオーディションをうけさせようとしました。しかし、不幸にも、ファーレは、岡っ引きたちにつかまってしまいました。bableとあしのうらみょうがと人生は、ファーレを救出しようと結束しました。

そして作曲家アロンアルファのオーディションのシーンが始まり、それとファーレの救出のシーンが同時に舞台の上で進行します。bableとあしのうらみょうが、岡っ引きのうち1人はファーレの歌に魅力を感じ、仲間を裏切ってファーレの救出を手伝いました。

オーディションのラストに「地引網」という、うたうたい志願者が出て、彼女に決まりそうなところで、救出されたファーレがオーディション会場に、ボロボロになって登場。「私にも歌わせてください!」 困った司会者は追い返そうとしましたが、オーディションの主催者で作曲家アロンアルハもカレーライスも「1人くらいいいじゃないか」と話、ファーレは、思い切って、「ファ」と「レ」しかない子守歌を歌いました。

*** 第三幕 / ファーレの結婚式 ***

「ファ」と「レ」しか歌えないファーレは、地引網のマネージャーの仕事をしていました。そして、作曲家アロンアルハと恋に落ちていました。2人きりの時、「ファーレ」が子守歌を歌うと、それをバックコーラスにして作った歌をアロンアルハは、フォークギターを持って2人の恋の歌を歌います。

そして、あのオーディションから数年、アロンアルハとファーレが、結婚することになり、舞台は結婚式の会場になりました。会場には、今まで、全ての登場人物がいます。

ここは、記憶の回想シーンだったのでしょうか。ある日、カレーレディオで、うたうたい地引網が、招かれましたが、「あんた、『ファ』と『レ』しか出ないから、うたうたいを目指さないで、マネージャーばっかりやっていないで、歌いなさいよ。あんたの方が歌上手いんだからさ」

そして、カレーレディオに出演した、ファーレの子守歌を聴いた、うたうたいカレーライスは、「私の兄貴の娘だ」ということに気が付きました。カレーライスは、番組の後、ファーレに話しました。

「私が父親だ。あの時は、すまなかった。まだ、駆け出しのうたうたいで、子供を育てるお金なんて、持ってなかったんだ。」と、嘘泣きしながら、謝りました。ファーレは、すぐ「嘘だ!」と見破りました。

カレーライスはファーレに告白しました。「私は本当はカレーライスではなく、弟のハヤシライスです。ずっとカレーライスに成り済ましていました。兄カレーライスは、20歳の成人式の日に亡くなりました。」ファーレが「じゃあ、お母さんは?」と尋ねると、「あなたのお母さんは、あなたを産んだ瞬間、亡くなりました。」

両親を失い、旅の目的も失ったファーレは、泣き崩れました。(この時の坂本美雨の演技は迫力がありました。)その時、友人のポリオが駆けつけてきて、「ン」しか言わないけれど、駆けつけて励ましてくれました。もちろん、アロンアルハも。

再び、結婚式のシーン。会場には、ファーレが出会った人々だけでなく、過去の自分2人も、やってきていました。 ファーレと人々の思いは、結婚式をかけめぐる。そんな、いくつかの過去や、人々の思いは、結婚式に、まちに、世界に、響きます。

そして、ファーレが、うたえば、街も歌い出す。

こんなエンディングで、とてもファンタジックな物語でした。会場も拍手喝采でした。

(今日のYouTube) I'm yours / 坂本美雨×KERVA
by hide3190ymo | 2012-10-14 15:27 | 舞台&美術
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