最近聴いている邦楽 【2011年9月号】
東日本大震災が来てから、明日の9月11日で半年になります。そして、同時多発テロ事件が起きた日でもあります。音楽はメッセージを伝える力があり、世界中の核をなくそうと、核兵器廃絶や、脱・原発=自然エネルギーへの移行を訴える邦楽アーチスト達が各地で、震災復興チャリティーLIVEが行われ、今年は最も国内音楽フェスの多い1年であったかも知れません。そんな動きが、一過性のブームで終わらせずに、子供たちに美しい地球を残せるようにしたいものです。

それでは、今月の「最近聴いている邦楽アーチスト」行ってみましょう!


flumina

fennesz + sakamoto / commmons


9.11をきっかけに、ニューヨークに滞在していた坂本龍一は、反戦・脱原発を積極的に取り入れ、「ZERO LANDMINE」「CHAZM」で平和活動を音楽に取り入れ、今年のWORLD HAPPINESSでも、脱・原発を訴えて来まして、今や音楽だけでなく、脱・原発に積極的に運動をしています。もし、U2のボノや、STING、リアム・ギャラガー(BEADY EYE)あたりが脱・原発を訴えてくれたら、世界中の人々から、から日本政府に圧力をかけられるのにと思うのですが、海外アーチストは、日本に遠慮がちのような気がします。いろいろな海外アーチストが「日本がんばれ!」を言うのもいいけれど、あなた達の国の原発だって他人事ではないでしょうと言いたくなるところです。

「fennesz + sakamoto」は、坂本龍一とウィーン出身の先鋭的音響派アーティスト、クリスチャン・フェネスのコラボレーションです。「flumina」は邦楽のコーナーで紹介するべきか洋楽のコーナーで紹介するべきか悩みましたが、コモンズからのリリースなので、邦楽扱いにしました。WORLD HAPPINESS'2011の4日前くらいに、この2枚組が発売されまして、前作の「cendre」しか予習を十分に出来ないまままでした。当日の「fennesz + sakamoto」のタイムテーブルは、14時くらいでしたが、灼熱の中、ちょうど地面から輻射熱が上がってくる時間帯で、陸上競技場で座っていると暑すぎて、立って聞いていましたが、踊ったり、手拍子したりする音がではないので、直立不動のままで聴いていました。(笑)

2枚組の「flumina」は、坂本龍一のピアノ・ソロ音楽と、fenneszのラップトップ・ミュージック(ノートパソコンを使ったシンササイザー音楽)が、美しく調和していて、人間的な暖かみのある環境音楽になっています。アコースティックと電子楽器が自然に共存し、ノイズとピアノが会話しているような音楽ではなく、どらかがどちらかをリードしているということもなく、もうすでに仲良く肩を組んでいるような音楽で、この夏、暑さで疲れた体を癒してくれる音楽になっていまして、夜、寝る前のリラックスタイムに聴いています。試聴サイトは、こちら(listen.jp)です。


街道筋の着地しないブルース (紙ジャケット仕様)

中川敬 / SOUL FLOWER RECORD/BM tunes


阪神淡路大震災で神戸市内の被災地の各地でソウル・フラワー・モノノケ・ユニット名義で毎日のように応援ライブをしていたソウル・フラワー・ユニオン、現在もツアーの間に東日本大震災で被災地となったZEPP仙台や、東北地方の被災地へ行って、おじいちゃん・おばあちゃん達が好きな古い有名な歌や、漁師の歌や東北民謡も歌い、喜ばれているようです。またソウル・フラワー基金を作って、東北地方の義援金や物資のリサイクル等を、直接困っている施設に独自のルートで送っている「草の根ボランティア」活動しています。

中川敬は、ソウル・フラワー・ユニオンのフロントマンで、ヴォーカル&ギターまたは三味線で、現在、私の兄と同じ45歳で、私の尊敬するアーチストの1人です。この「街道筋の着地しないブルース」は今年6月に発売され、中川敬・初のアコースティック・ソロ・アルバムで、売り上げをソウルフラワー基金に当てているチャリティーCDアルバムです。

「街道筋の着地しないブルース」は、世界中の楽器を持ち寄って賑やかなミクスチャー・ロックを歌うソウル・フラワー・ユニオンとは反対に、アコースティック・ギター1本で、歌いあげているアルバムで、阪神淡路大震災時の神戸の状況を歌った「満月の夜」と、SFUの前作「キャンプ・バンゲア」に収録されている「死んだあのコ」のセルフカバーもあり、個人的には、渋谷duo Music Exchargeでお披露目された「いちばんぼし」、そして、童謡のメロディ感がある「ひかり」、また「風来恋歌」「野づらは星明り」等が好きです。震災で荒地となった人々や、何もかも失くして心が傷ついても1からやり直して生きようとする人々を歌っており、現代人の心の中の「荒地」や「闇」に、優しい風を送ってくれるような音楽です。心の傷ついている全ての人に聴いてほしい音楽です。試聴サイトは、こちら(OTOTOY)です。


剣と楓

鬼束ちひろ / フォーライフミュージックエンタテインメント


鬼束ちひろさんは、2001年9月7日に、5thシングル「Inflection/LITTLE BEAT RIFLE」をリリースした4日後、9月11日同時多発テロ事件が起き、皮肉にも、「infection」の歌詞の内容に事件を予見していたかのようなフレーズがあるということから、事件から2日後の9月13日に東芝EMIより楽曲のプロモーションを自粛させられたという、彼女自身も9.11の事件の影響を受けた1人でした。その後、過労による急性腸炎や、交通接触事故による打撲、ストーカー被害等、声帯結節手術等で休養し、レーベルとのトラブルも多くて転々とレーベルを移籍し、「いい日旅立ち/西へ」の山口百恵のカバーで、事実上、引退する形になっていました。2007年、個人事務所であるNAPOLEON RECORDSを設立し、インディースとして再活動し、4thアルバム「LAS VEGAS」5thアルバム「DOROTHY」を発売、またストーカー暴行事件に遭うものの、フォーライフミュージックエンタテインメントに移籍し、6thアルバム、「剣と楓」が今年完成。

もともと、ジュエルやアラニス・モリセットの影響を受けて、シンガーソングライターになった、鬼束ちひろさん、私は、1st、2nd、the ultimate collectionと、このアルバムの3枚しか持っていませんが、この6thアルバム「剣と楓」は、「EVER AFTER」や「CANDY GIRL」のようなロック調の音楽が多くなった印象があります。「青い鳥」「僕を忘れないで」のような「昔のようなネガティブなバラード」だけれど「でも少し成長したかな?」という感じの歌から、「NEW AGE STRANGER」のような軽いエレクトロ・ポップもあれば、「SUNNY ROSE」「WANNA BE A HAPPY WARRIOR」のような英語の歌詞(当然、自分で作詞・作曲)さえもあり、さらには「An Fhideag Airgid 」という民俗音楽をバラードにカバーしたものまで、バラエティに富んでいます。「みんなが期待する鬼束ちひろ」を打ち破り、やりたいことをやっている気がして、全部のアルバムを聴いたわけではありませんが、最高傑作ではないかと思っています。 試聴サイトは、こちら(HMV)です。

(今日のYouTube) Infection / 鬼束ちひろ
 この曲のシングルCDを発売した4日後に、9.11の同時多発テロ事件が起きて、この歌詞がそれを予言しているように聴こえるという不当な理由で、東芝EMIから、この曲のPVの放送を自粛すると発表があり、1ヶ月半くらい、このPVは放送されませんでした。この歌詞を聴いて、9.11のテロ事件を予言したなんて思う人は一部の人だけだと思うし、鬼束ちひろさんは、真剣にこの曲を作ったのに、そんな商業主義的な発想で、芸術を潰すのは、大変もったいないことです。ちなみに、RCサクセションの「COVERS」も、原発批判をしている過激なCDだとして、発売禁止にしたレーベルも、東芝EMIでした。(「COVERS」はインディースで、RCサクセションが自ら発売しました。)



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by hide3190ymo | 2011-09-10 16:25 | 音楽&映像
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